クラシック音楽の演奏会を開催するにあたって、集客は悩みの種ですよね。特に、主催者=奏者のばあい、集客や協賛獲得を同時並行でおこなう必要がありますので苦労することが多いのではないでしょうか。
認知度アップに効果的な広告宣伝方法
当社が相談される際にかならずでるのが「プロモーション」してほしいという言葉です。集客でいうと、奏者さんに限らず企業でもかならず苦労する点です。
最初にプロモーションと広報、広告、PRは定義がちがう、ということを明確にしたいですね。というのも広報やPRは「無料」と思っているかたがとても多いのです。今にはじまった話ではありませんが、この定義を誤解したままだと「ずっと無料」だと思いこんでしまいます。ちなみにどの手法も費用はかかります。
項目 | プロモーション | 広報 | 広告 | PR |
目的 | 販売促進 | 情報発信・関係構築 | 認知拡大・購買促進 | 理解促進・信頼関係構築 |
よくある手法 | キャンペーン、クーポン、割引、サンプル試供 | プレスリリース、取材対応、CSR活動、メディアへのコンタクト | マスメディア広告出稿、ウェブ広告出稿、SNS広告出稿など | メディアへの露出、イベント開催・出演、SNSでの発信 |
誰が発信 | 企業や主体者 | 広報部門 | 企業や主体者 | 第三者(メディア) |
費用 | 規模に応じて変動 | 人件費 | 広告媒体に応じて | 人件費 |
期待する効果 | 短期的な売上増 | 認知度向上、企業理解促進 | 即効性ある販売促進 | 信頼性向上、ブランドイメージ上昇 |
特徴 | 顧客との直接接点 | 正確に情報を伝えられるが掲載内容のコントロールはむずかしい | 広範囲へのリーチが可能。自分で行う場合運用知識が必要 | コントロールがむずかしいが、成功すると信頼性があがる |
上記のように定義や行動がおおきく異なっています。それぞれ単独で行われることもありますが、組み合わせて相乗効果を狙うことも一般的です。SNS利用者が多くなってきたため情報拡散は無料と思いこんでいるケースや 、おなじように広報は無料と思っているケースがよくあります。定義を揃えたうえで、プロモーション活動をおこなうのがベターです。(ふだんのSNSはPRのカテゴリにはいることがわかります)
集客したいと考えるなら、まずは認知度向上を最優先とするべきです。幅広い層にアプローチできる以下の3つの手法を検討してみたいものです。この場合はプロモーションと広告の2つをおこなう必要があります。
- メディアへの情報提供
地域への認知度向上に最も効果的な方法です。地域新聞・情報誌に掲載されることで、クラシック音楽に関心の薄い層にも演奏会情報を届けられます。取材を受ける際には、演奏会の魅力や出演者の想いを熱く語り、読者の心を掴みましょう。
- ポスター、チラシの掲示
不特定多数への認知度向上に効果的な方法です。ターゲット層がよく訪れる場所にポスターやチラシを掲示することで、自然な形で演奏会情報を目に触れさせることができます。デザイン性の高いポスターやチラシを作成し、演奏会の雰囲気を伝えましょう。チラシをつくったはいいけど、配布先に困っているというケースはよくあります。
- SNS広告の活用
オンラインでの認知度向上に効果的な方法です。ターゲット層の年齢や興味関心に合わせた広告配信が可能なため、効率的に情報を届けられます。動画や画像を活用し、演奏会の魅力を視覚的にアピールすることも可能です。少額からはじめることができますので、費用対効果を見ながらの実行をおすすめいたします。
認知度アップ施策の効果測定と改善
認知度アップ施策の効果を測定し、改善を繰り返すことが重要です。ウェブサイトへのアクセス数、チラシの持ち帰り数、SNS広告のインプレッション数などを確認し、どの施策が効果的なのかを分析しましょう。(おそらく殆どがそうですが)演奏会ごとにウェブサイトを作れない場合は、「クラ音!!!」のページを使っていただいても大丈夫です。
認知度が低い状況での演奏会集客は、まずは認知度向上を最優先とし、幅広い層にアプローチできる手法を選ぶのがセオリーです。地域メディアへの情報提供、ポスター・チラシの掲示、SNS広告の活用は、比較的低予算で実施できるため、おすすめです。
これらの施策と並行して、ウェブサイトやSNSでの情報発信も積極的に行い、演奏会の魅力を伝えましょう。地道な努力を続けることで、必ず集客アップに繋がります。地域にポスターを貼る、チラシを置く場合協賛も依頼するのもひとつです。
個人のSNSでしか宣伝できない
予算をかけれない場合、SNSで具体的にできることもたくさんあります。
- 魅力的なコンテンツの作成
- 演奏動画や練習風景のショート動画
- プログラムの紹介や曲にまつわるエピソード
- 出演者紹介やインタビュー
- リハーサルの様子や舞台裏
- 演奏会への想いや意気込み
- ターゲット層へのアプローチ
- ハッシュタグを活用
- 過去の演奏会の来場者や音楽好きのフォロワーに積極的に絡む
- 演奏会情報をシェアしてくれた人に感謝のメンションを送る
- 情報発信の頻度とタイミング
- 演奏会が近づくにつれて、投稿頻度を上げるほうがよいです
- 演奏会の詳細情報やチケット購入方法を分かりやすく伝える
- 演奏会当日や終了後にも、写真や感想などを投稿する
個人のSNSのメリット
- 低コストで始められる
- 自分の言葉で想いを伝えられる
- フォロワーとの距離が近い
- 直接コミュニケーションが取れる
これらのメリットを活かし、工夫次第で個人のSNSだけでも十分に集客に繋げることができます。ただ大前提として個人SNSのフォロワーは5,000はほしいところです。アルゴリズムが頻繁にかわるため、オーガニックリーチの数値はどんどん低下しています。さらに、SNSでの普段の立ち居振る舞いも重要なポイントになってきます。SNSは衆人環視のコミュニケーションツールです。クローズドなコミュニティではないため、ネガティブな発言や議論をおこなうのは、あまり得策ではありません。
またこんなことも積極的におこなってきたいものです。
- 他のSNSとの連携:X、Instagram、Facebookなど、複数のSNSを活用することで、より多くの人に情報を届けられます。
- 友人や知人への協力依頼:演奏会情報をシェアしてもらうことで、さらに多くの人に情報を広げることができます。
- オンラインコミュニティへの参加:クラシック音楽好きが集まるコミュニティで演奏会情報を発信することで、興味を持ってくれる人を増やせます。
これらの方法も組み合わせることで、個人のSNSでの宣伝効果をさらに高めることができます。
個人アカウントとPRアカウントを分けてもいい?
SNSアカウントで日頃からネガティブな発言が多いと、演奏会の集客に悪影響を及ぼす可能性があります。これは単純な話で、ネガティブ思考の奏者の演奏を初見で見に行きたいと、人は考えないからです。
ネガティブな発言が与える悪影響
- イメージダウン: 演奏会主催者や出演者に対するネガティブなイメージを与え、参加意欲を削いでしまう可能性があります。
- 信頼感の低下: ネガティブな発言が多いアカウントは、信頼性に欠けると判断され、情報発信の内容自体が疑われてしまう可能性があります。
- フォロワーの減少: 不快に感じるフォロワーが離れてしまい、情報が届く範囲が狭まってしまう可能性があります。
演奏会集客のためのSNSアカウント運用
- ポジティブな情報発信: 演奏会の魅力や出演者の情報を積極的に発信し、ポジティブなイメージを醸成しましょう。
- 丁寧な言葉遣い: 攻撃的な言葉や不適切な表現は避け、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
- 建設的な意見交換: フォロワーからの意見や質問には、真摯に対応し、建設的な意見交換を心がけましょう。
- 炎上対策: 万が一、炎上してしまった場合は、速やかに謝罪し、誠意を持って対応しましょう。
個人のアカウントとの使い分け
演奏会の宣伝を目的としたアカウントと、個人的なアカウントを使い分けることも有効です。個人的なアカウントでは、自由に発言できますが、演奏会アカウントでは、演奏会に関連するポジティブな情報発信に徹しましょう。
SNSは、演奏会の認知度向上や集客に非常に有効なツールですが、使い方を誤ると逆効果になる可能性もあります。ネガティブな発言は避け、ポジティブな情報発信を心がけることで、演奏会への興味関心を高め、集客につなげましょう。
個人でできること
お金がかけられない。無料でやりたいという方は「個人のSNSと無料でもできる宣伝方法で集客を目指しましょう!」が答えです。実際は無料ではなく人件費や時間がかかるのですが、ざっと考えると下記のような内容になります。
SNSでの工夫
- ライブ配信を活用: リハーサル風景や演奏の一部をライブ配信し、臨場感や演奏会の雰囲気を伝える。
- コラボレーション企画: 他の音楽家やインフルエンサーとコラボレーションし、相互のフォロワーに演奏会情報を広める。
- プレゼント企画: チケットやグッズのプレゼント企画を実施し、フォロワーのエンゲージメントを高める。
- ストーリー機能の活用: 演奏会までのカウントダウンや舞台裏の様子をストーリーで発信し、興味を引きつける。
無料の宣伝方法
- 口コミを活用: 友人、知人、音楽仲間などに演奏会情報を伝え、口コミで広めてもらう。
- 無料の演奏会情報サイトへの掲載: クラシック音楽専門のウェブサイトや地域のイベント情報サイトに演奏会情報を掲載する。
- 地域の掲示板へのポスター掲示: 図書館、コミュニティセンター、カフェなど、地域の掲示板にポスターを掲示する許可を得て、情報を広める。
- フライヤーの配布: 演奏会に関連する場所(音楽教室、楽器店など)やイベントでフライヤーを配布する。
その他
- 無料のオンラインツールを活用: Canvaなどの無料のデザインツールで、魅力的なチラシやポスターを作成する。
- 地域メディアへのプレスリリース: 地元の新聞社やラジオ局にプレスリリースを送り、無料で取り上げてもらう可能性を探る。
モチベーション維持の重要性
無料での宣伝活動は、時間と労力がかかり、また他人を頼ることができません。そのモチベーションを維持することが重要です。モチベーションは行動した結果でてくるのですが、小さな目標を立てて毎日達成するのがコツです。
- 目標設定: 具体的な目標(例:SNSフォロワー数100人増、演奏会予約者数10人)を設定し、達成感を味わえるようにする。
- 協力体制: 友人や仲間と協力し、情報発信やチラシ配布などを分担する。
- 楽しむ: 集客活動自体を楽しみ、演奏会への情熱を伝えていくことが、結果的に集客につながる。
まとめ
個人のSNSと無料の宣伝方法を組み合わせることで、予算をかけずに集客することは可能です。ただし身内以外の第三者を頼ることはできません。どの職種もそうですが、プロモーションやSNSのつかいかたなどは学生時代に教えてもらえるものではありません。試行錯誤しながら、SNSでの工夫や無料の宣伝方法を最大限に活用し、演奏会を成功させましょう。
ここまで無料枠をつかってもリーチ数が伸びないのであれば、広告出稿を検討する時期かもしれませんね。