こんにちは、不定期更新の読み物です。前回の読みもので「音=波」について書きますといってから時間がかなり空きました。音と波形が脳に与える影響について、最新の研究や自身の経験を交えながらお話しします。

音の正体:波形の不思議
音は、空気の振動によって生じる波、すなわち音波として伝わります。この音波は、波形と呼ばれる形で視覚的に表現することができます。波形は、音の高さ、大きさ、音色といった音の特徴を反映しており、それぞれ異なる形をしています。
例えば、高い音は波形が密集し、低い音は波形がゆったりとしています。また、大きな音は波形が大きく振幅し、小さな音は波形が小さく振幅します。さらに、音色は波形の複雑さによって決まり、単純な波形は純粋な音色、複雑な波形は豊かな音色となります。
脳への影響:音波が織りなす神経のハーモニー
音波は、耳を通して脳に伝達され、様々な影響を与えます。
1. 感情への影響:
音楽を聴くと、喜びや悲しみ、怒りや恐怖など、様々な感情が湧き起こります。これは、音波が脳の感情中枢である扁桃体や海馬などに作用し、神経伝達物質の分泌を促すためです。例えば、明るい音楽はドーパミンやセロトニンといった快楽物質の分泌を促し、高揚感や幸福感をもたらします。一方、悲しい音楽は、ノルアドレナリンなどのストレスホルモンの分泌を促し、悲壮感や メランコリック な気分を引き起こすことがあります。
2. 認知機能への影響:
音楽は、注意力、記憶力、集中力といった認知機能にも影響を与えます。ある研究では、モーツァルトの音楽を聴くと、空間認識能力が向上するという結果が出たという話をきいたことありませんか。出典は1993年の「ネイチャー」誌に掲載されたカリフォルニア大学アーヴァイン校のフランシス・ラウシャーとゴードン・ショーらの研究グループによる「音楽と空間的課題の遂行成績」と題された短い記事のようです。実際のところは定かではないようなのですが、プラシーボ効果はどうもあるようです。
音楽は、アルツハイマー病患者の記憶力や言語能力の改善にも効果があるという報告もあります。これは、音楽が脳全体の神経ネットワークを活性化し、脳の可塑性を高めるためと考えられています。
3. 生理的な影響:
音楽は、心拍数、血圧、呼吸数といった生理的な指標にも影響を与えます。リラックス効果のある音楽は、心拍数を落ち着かせ、血圧を下げ、呼吸を深くする効果があります。また、音楽は、痛みを和らげたり、免疫力を高めたりする効果もあると言われています。これは、音楽が自律神経系に作用し、副交感神経の活動を優位にするためと考えられています。
音楽療法:音の力を活かす
当社も提供いている「音楽療法」は、音楽の持つ力を活かして、心身の健康を促進する治療法です。音楽療法士は、患者の状態に合わせて音楽を選び、演奏したり、歌ったり、音楽を聴いたりする活動を通して、患者の感情や認知機能、生理機能に働きかけます。
音楽療法は、様々な疾患に効果があることが認められています。例えば、うつ病、不安障害、 PTSD などの精神疾患、自閉症、 ADHD などの発達障害、脳卒中、 パーキソン病などの神経疾患、がん、慢性疼痛などの身体疾患などです。
音楽の力:無限の可能性
音楽は、私たちに喜びや感動を与え、心を豊かにしてくれるだけでなく、心身の健康にも大きな影響を与えます。音波が脳に与える影響を理解し、音楽の力を積極的に活用することで、より健康で豊かな人生を送ることができるでしょう。
演奏家としての視点:
演奏家の方々は音の波形を意識することで、より繊細で豊かな表現ができるようになると考えています。音の高さ、大きさ、音色をコントロールすることで、聴衆の感情に訴えかけ、感動を与える演奏を目指しています。また、音楽療法の知識を深めることで、演奏活動を通して人々の心身の健康に貢献できればと考えています。
注釈:
- 音楽療法の効果には個人差があります。
- 音楽療法は、医療行為、病気を治すことを目的としたものではなく、心身の健康を促進するためのものです。
- 音楽療法を受ける場合は、資格を持った音楽療法士にご相談ください。

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