事業再構築支援補助金は、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業を対象として設けられた補助金制度です。コロナ以前の事業の延長線上ではなく、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、「事業再構築」を展開する中小企業等の挑戦を支援する補助金です。

4月23日に第12回の公募がはじまり、要項が公開されています。応募条件や企業規模に応じた補助率などは公募要領をみるとわかりますのでリンクをはっておきます

当社は個人事業主時代から、法人再開後も各種補助金の申請サポートをおこなっています。とくに重要になるのが「事業計画書」です。事業計画書は主に3〜5年分を記載します。損益計画(P/L)はとうぜんなのですが、その他どんなことを言語化するのか、ご案内いたします。

事業計画とは

事業計画は、企業や事業を遂行するための具体的な戦略や手法をまとめた文書です。Word体裁のこともあれば、スライド体裁のものもあります。助成金ではWord体裁で記述するのがほとんどで、10P以内とか15P以内などあらかじめ定められています。主に新規事業の立ち上げや既存事業の拡大、改善、再構築などの際に作成されます。

1. 目的と目標の明確化

事業計画の最初の段階では、事業の目的や目標を具体的に定義します。
ビジョンや方向性を明確になり、計画の方向性が定まります。

2. 調査と分析:

事業計画を策定するにあたっては、市場調査や競合分析、顧客ニーズの把握などの情報収集が不可欠です。
これにより、市場の動向や競合状況を把握し、戦略の立案に役立てることができます。
SWOTかクロスSWOT分析をもちいて記述することが多いです。また競合調査などもおこないます。

3. 戦略の策定:

調査や分析の結果を元に、具体的な戦略やアクションプランを策定します。市場参入戦略、マーケティング戦略、製品・サービスの開発戦略など、事業遂行のための計画を具体化します。

4. 財務計画:

事業計画には、財務面の計画も必要です。損益計画(収益予測)、費用予測、投資計画(減価償却費算出)、資金調達計画など、事業の収支や資金繰りに関する計画が含まれます。これにより、事業の持続可能性や成長の見通しを把握することができます。

5. 組織体制

どんな事業も一人で遂行するのは難しいものです。誰がなにを担当するか、どういう組織図になるかを可視化しておく必要があります。兼務の場合は(兼)と明記し人員計画に反映しておくと、なおさらよいです。

6. 実行と評価:

これは補助金申請とはすこし離れますが、事業計画は単なる文書ではなく、実行するためのロードマップとして機能します。計画を実行し、その成果を定期的に評価・改善することで、事業の目標達成に向けて効果的に進めることができます。予算実績計画がこれにあたります。

毎月末日で会計を締め、翌月の取締役会で予実に関して協議し、方針決定をおこなうのが好ましいです。

つづいて事業計画書を作成するために必要な主な知識とスキルを紹介します。ぼくはたまたま監査法人の公開部長にレクチャーをうける機会があり、そのことをきっかけに毎年のように事業計画書の作成と更新を担当する機会にめぐまれました。

事業計画書作成に必要な知識とスキル

  1. ビジネス知識:
    事業計画書を作成するためには、対象となるビジネスに関する基本的な知識が必要です。業界や市場の動向、競合他社の状況、顧客ニーズなどについての理解が重要です。これらは検索すると省庁からの調査データや、リサーチ会社からのレポートなどを読み込むことである程度把握することができます。
  2. マーケティング知識:
    ビジネスの成功には、効果的なマーケティング戦略が不可欠です。顧客層の分析、競合分析、市場動向の把握、プロモーションなど、マーケティングに関する知識が必要です。マーケティングとはなんですか?という問いに対する回答ほど、千差万別なものはありません。
  3. 財務知識:
    財務面の計画や分析も事業計画書の重要な要素です。収益予測、費用予測、キャッシュフロー計画など、財務知識が必要です。専門的である必要はありませんが、販売計画と損益計画を起票できる知識とスキルはあったほうがよいです。
  4. プロジェクト管理スキル:
    事業計画書を作成するプロセスは、プロジェクト管理のスキルも必要です。タスク設定やスケジュール管理、リソースの配分など、プロジェクト管理スキルを活用して計画書を進める必要があります。
  5. コミュニケーションスキル:
    事業計画書は、他の関係者や投資家とのコミュニケーションツールでもあります。情報を明確に伝える能力や説得力、プレゼンテーションスキルなどが必要です。
  6. 分析能力:
    前述のSWOT・クロスSWOT分析のように、ビジネス環境や市場動向の分析能力が必要になります。データを収集し、分析して傾向やパターンを把握し、その結果を事業計画に反映させる能力が求められます。「この収益になる根拠はなんですか?」とかならず聞かれるのです。
  7. 問題解決能力:
    事業計画書を作成する過程で、さまざまな課題があることに気づきます。問題を見極め、解決策を提案する能力や、関係部署との調整・ヒアリングをおこなうスキルが必要です。
  8. 情報収集能力:
    最新の業界動向や市場ニーズなどの情報を収集する習慣も重要です。情報を継続的に収集し、事業計画に反映させることで、計画の精度を高めることができます。

事業計画書を書くためには、これらの知識とスキルをバランスよく活用することが重要になってきます。また柔軟性や創造性も求められるため、常に新しいアイデアやアプローチを考えることも大切です。事業再構築支援補助金は、冒頭に書いたように、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等が主軸ですので、事業開発という視点も重要になってきます。